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©2017 by T-REEF SURFBOARD

VOL.1-1 始まり

ハワイに着いて数日後のある日。
先輩の案内で、ついにメインストリームのど真ん中に連れられてきた。
目の前に本物のミスター・ブルーワー。
『SURFER』などの輸入誌でしか見たことのない超大物……。
興奮で、心臓の鼓動はバクバク状態。全身の血がハイスピードで駆け巡った。
とにかく、先ずは一所懸命シェイプを頼んでみようと・・・それだけを考えていた。

 

今でこそ歴史を創ってきたレジェンドと言われるD・ブルーワーだが、 この頃はまだ30代半ば。
若く最も時代の先端を行くサーフボード・デザイナー。
取り巻くメンバーもライダー達もすごい面子ばかり。
ジェリー・ロペス、リノ・アベリラや、オウル・チャップマンにサミー・ホークといった面々。
多くの人々がその才能に一目置いていたし、逆に革新的過ぎると言って、年長者の中には恐れたり煙たがる者もいた。
何れにしても、時代の先端へ、まさにトップへと上り詰めているという頃で、
彼のシェイプしたボードはトップサーファーでさえ中々手にできない状況にあった。

     「OK、シェイプしよう」

この言葉をもらった時、直ぐには信じられなかった。
確かに紹介があるから、もしかしたらという気持ちはあったけれど、ずっと半信半疑だったし、
たかが17歳のアマチュアサーファーに本当にシェイプしてくれるのかなぁって・・・。
だから、もう心の中では「おおぉっ~やったぜっ!」と叫びまくった最高な瞬間だった。

でもブルーワー本人はこちらのそんな雰囲気を まったく気にも留めずに、
通訳をしてくれた先輩の彼女を介して、当たり前のように普通に質問してきた。

     「で、長さはどうするんだ?」
     「あっ、はい、7' 2"でお願いします」 
     「お~!セミガンか?それならダイヤモンドテールがいいな。 で、体重はいくつだ?」

自分の体重を伝えた後は、もう全てお任せ。
一番最後にボードカラーを聞かれた。

     「ところで色はどうする?」
     「はい!サミー・ホークがパイプラインをバックサイドでボトムターンしているのと同じ、スカイブルーでお願いしますっ!」

即答した。
日本を経つ前に既に決めていたカラーだ。もしもオーダーが実現したら必ずあの写真と同じでと。
その言葉にミスターブルーワーは、ゆっくりと「O~K~!!」と言ってくれた。
そのチョイスは最高だぞ!って感じで親指を立ててにっこりと笑っていた。
別れ際に滞在日数を聞かれ、「君が日本へ帰国する日までには仕上げるよ」という約束をしてくれた。 

その約2週間後にファクトリーを訪ねると、手が離せずでしばらく待たされたあと、そこに出てきたボードは、
頼んだ通りの紛れもなくサミー・ホークと同じスカイブルーのセミガン。ダイヤモンドテール!
まだ仕上げが終わったばかりという雰囲気が漂っている。
それが日本への帰国の前日だった。 

そのままボロ車のラックに載せてホノルルへ向う。
渡された時もエアキャップなど当然無し、裸のままだし、
樹脂の匂いがまだプンプンしてたから、車の振動で凹んじまうんじゃないかエラく心配だった。 
でも何となく、この大らかなやり取りがアイランドスタイルってやつなのかなって感じた。

いずれにしろ間違いなく最高の1本ができあがってきた。 
デカールが小さくひとつ、パドルする時の胸の位置、そう、心臓の場所に入っている。
オーラがすごくて、ビシビシとスピリッツが伝わってくる。 

車の助手席で俺は、屋根の上のまだ乗ってもいないボードに様々な思いが交差して、
スペシャルな予感とエネルギーを感じて胸が一杯になってきた。

    翌1973年の台風シーズン。
    その日、稲村インサイドは6~8フィートプラス。
    コンディションも最高な日で、大きく弧を描いて落ちてゆく迫力あるチューブを巻いていた。​

    その日、海に入っていた中での一番を捉えた。セットの8フィートプラスの波。
    今まで経験した事のないような素晴らしいドロップが決まった。
    それは、いつもならパーリングしてしまうようなバッコリと掘れ上がりする波だった。
    降るようなテイクオフのあと、レールがしっかりとフェイスに入り、流れるように降りてゆく。
    一気にボトムに降りると、あとはもう無我夢中であらん限りの力を入れて深いターンをした。
    それとほぼ同時に、とてつもなくでかいリップがはるか上を越えゆきチューブに包まれて行った・・・・・。

    前は壁のようなそそり立つフェイス、トップは視界に入らないくらい上の方だ。背後ではリップが怒涛のごとく炸裂する。
    それまで乗った稲村インサイドの波の中でも最大級のチューブ。 
    出口一点を見つめると、狙った様にその一点に向かって最速のスピードで駆け抜けた。

    波、ボード、チューブ、全てが調和した瞬間。

    スピッツと共にチューブから抜けると、しばらくは放心状態に。
    目の前のディックブルーワーシェイプ…。
    サーフボードが、こんなにもサーフィンを変えてしまうことに本当に驚いた。

    そして、この日のサーフィンをきっかけに、「シェイプ」に対して大きな興味を抱くようになっていった。